カクタ イエコ   Kakuta,Ieko
  角田 宇子
   所属   国際関係学部 国際関係学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2024/03
形態種別 大学・研究所等紀要
査読 査読あり
標題 灌漑システムにおける灌漑実施機関と水利組合の共同システム管理の成功要因ー東播用水土地改良区の事例から
執筆形態 単著
掲載誌名 亜細亜大学アジア研究所紀要
掲載区分国内
出版社・発行元 亜細亜大学アジア研究所
巻・号・頁 (50),1-20頁
総ページ数 20
担当区分 筆頭著者
概要 本論文は日本の東播用水土地改良区を事例に灌漑管理移管における共同システム管理(JSM)の成功要因を考察したものである。開発途上国では灌漑システムのJSMが成功しておらず、灌漑実施機関が傘下の水利組合(WUA)に適時適量の送水ができないことが問題になっている。その要因として灌漑システムが政府によって建設され、後からWUAが結成されているという歴史的経緯、灌漑実施機関とWUAの不平等な関係、WUAとのコミュニケーション不足とそれによる適時適量の送水の欠如、灌漑実施機関とWUAの適切な役割分担の欠如が挙げられる。一方、東播用水地区では加古川総管、東播用水土地改良区、傘下の土地改良区等(WUA)の三者によるJSMが行われ、公平な水配分と高い水利費(賦課金)徴収率が実現されており、円滑な運営が行われている。東播用水地区では元々農家によるため池灌漑システムが建設されており、既存のため池に送水する水利施設として東播用水土地改良区が後から建設されたという歴史的経緯がある。さらに、賦課金の徴収率を上げるために傘下の498か所のため池・井堰の個々の水需要を知るようWUAと緊密で良好なコミュニケーションを行い情報収集に務め、WUAとの対等な関係構築のため組合員に丁寧に接するように努めてきた。これにより各ため池・井堰に適時適量の送水が可能となっている。また上部組織である加古川総管と良好な関係を構築することにより適時適量の送水をダムから得ることができている。これら三者の間で適切な役割分担と協力体制があり、それぞれの役割を適切に果たすことによってJSMが成功していると考えられる。