フダ コウジ
FUDA Koji
布田 功治 所属 経済学部 経済学科 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2018/04 |
形態種別 | 単行本 |
標題 | 金融の世界現代史:凝集する富・グローバル化する資本取引・派生される証券の実像(国際銀行史研究会編) |
執筆形態 | 共著 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 一色出版 |
巻・号・頁 | 365-404頁 |
総ページ数 | 696 |
担当範囲 | 第9章 タイ |
著者・共著者 | 布田功治 |
概要 | 本稿(第9章)は、本書全体のテーマである「実体経済と金融システムの乖離」すなわち工業化の補佐役であった金融システムがバブル化をもたらしついにはバブル崩壊に至るメカニズムについて、19世紀のタイ金融システムの萌芽期から通貨金融危機までを叙述したものである。先行研究と異なる分析結果は、下記の2点にまとめられる。第一に、19世紀半ばの英仏による植民地化圧力や第二次大戦後の軍からタイ中銀に対する圧力への対応が適切な為替相場管理や厳格な対外債務管理の伝統を構築しつつも、1980年代半ば以降の重化学工業化の際に問題となった貯蓄投資ギャップの解決のためそれらの管理は緩和せざるを得なかったことである。第二に、タイ中銀と地場商銀との官民協調は経済発展をもたらしたと賞賛された一方で、その協調関係はあくまで利益追求を目指す地場商銀にとってタイ中銀と利害一致となる限りでの関係にすぎなかったことである。それゆえ、貯蓄投資ギャップ解決のために、タイ中銀が金融機関支店開設規制の緩和を進めると、それまで支店開設のためにタイ中銀の指導を守っていた地場商銀の一部はその指導を無視するようになり、金融監督機能は低下したのだった。 |