オガワ ナオユキ
OGAWA Naoyuki
小川 直之 所属 経営学部 経営学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2016/12 |
形態種別 | 単行本 |
標題 | 失われた写本を求めて |
執筆形態 | 単著 |
出版社・発行元 | 翰林書房 |
概要 | 本書では、中世フランス語文学のうち、十字軍に関する年代記と叙事詩、さらに中世のベストセラー『薔薇物語』について、残存写本の調査を根拠とした実証的な研究が展開されている。
第1章では、著者所有の身元不明の写本が、十字軍年代記『ヘラクレイオス帝物語』の写本の一部であり、14世紀に北フランスで制作されたことが解明される。さらに、13世紀から15世紀にかけて十字軍国家が存在していたシリア・パレスチナ、キプロス島で生産されたフランス語文学が紹介される。 第2章は、中世に量産された十字軍をテーマとする叙事詩群が分析される。そして、それらの現存写本すべてがヨーロッパ産で、「現地」中東で生産されたことも、そこに持ち込まれた形跡もないことから、十字軍の現実から遠い地では荒唐無稽なフィクションが好まれ、逆に、十字軍を現実に生きる人々にとっては、ノン・フィクションこそ関心の的であったのではないかとの推論がなされる。 第3章においては、筆者が専修大学より研究を託された同大学所蔵『薔薇物語』写本について、現状で一点も残っていない挿絵が研究対象となる。写本の欠落部分を想定し、それをもとに挿絵の可能性がしめされている。 |